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『りぼん漫画家デビュー!』 阪大文学部卒、吉田奈波さんの描く世界

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Edited by  蒲生由紀子

IDかえたけど名刺に書いてたの思い出してもどしました泣 @ykringum

こちら大阪大学豊中キャンパス、カフェ「カルチェ」に来ています。『りぼん』で少女漫画家デビューが決まったばかりの吉田奈波さん(文学部・2016卒)にインタビューするためです。本日はよろしくお願いします!

吉田さん よろしくお願いします。

 

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顔出しNGとのことなので、似顔絵を描いてもらいました。さりげなく着ているりぼんTシャツもかわいいです。

 

阪大を卒業してからデビューするまで

吉田さん 大学を卒業して、教育関係の編集プロダクションに就職しました。そこで働くかたわら、『りぼん』への漫画の投稿は細々と続けていました。仕事はやりがいがあり、学ぶものも大きかったのですが、2017年冬頃に体調を崩したことなどをきっかけに退職しました。

そのときくらいからInstagramを始めてイラストを載せていたのですが、それを見た@cosme※さんというサイトから挿絵イラストの依頼が来たことをきっかけに、本格的にイラストの仕事を請け負うようになりました。

 

※@cosme…月間総PV数2億7千万PV、総クチコミ件数880万件を記録する、国内最大の化粧品・美容のポータルサイト。

※@cosme…月間総PV数2億7千万PV、総クチコミ件数880万件を記録する、国内最大の化粧品・美容のポータルサイト。

 

4月に描いた漫画が『りぼんまんがスクール+』で準りぼん賞をいただき、デビューすることになりました。現在は、専門学校でアナログイラストの講師をしながら、「ななみーぬ」という名前でイラストレーターとしても活動しつつ、漫画を描いています。

 

漫画家をめざすまで

私が本や漫画を好きになったのは、ほとんどが伯母の影響です。子どもの頃は、母が仕事で忙しかったため、私にとって伯母は第2の母親のようなものでした。伯母は本や漫画ならいくらでも買い与えてくれる人だったので、小さいころから当たり前のように漫画がそばにある生活を送っていました。

最近まで、漫画家になりたい!と、はっきり口に出したりしたことはなかったと思います。でも、心のどこかで、いつか必ずなるんだろうな、と子どもの頃からずっと思っていました。それくらい、漫画を描くことはわたしにとって自然なことでした。物心ついたとき、しゃべり始める(3歳半)より絵を描き始める(2歳)ほうが早かったんです(笑)。寝転がりながら、指で空に絵を描くのが癖だったみたいで、よく親を怖がらせていたみたいです(笑)。

小6ではじめて『りぼん』に投稿しましたが、そのときは箸にも棒にも掛かりませんでした。中3で2回目の投稿をしたとき、努力賞(デビューの一歩手前の賞)をいただきました。

 

小6なのに絵が上手い!

中3にしてこの画力!

 

その賞をきっかけに担当編集者がついたので、ネーム(原稿に入る前の下書き)を提出したりしていました。徐々に受験勉強で忙しくなってあまり描けなくなったのですが、大学生になっても投稿は続けていました。

 

小学生のとき、伯母から「漫画は絵だけじゃなくて話ができないといけないから、漫画家の仕事は頭が良くないとできないよ」と言われたんです。確かに、『りぼん』の憧れの漫画家さんには、高学歴の方も数人いました。

そこで、漫画と勉強が自分の中で結びついたのもあって、勉強をがんばっといて損はないんだという考えになりました。それが受験勉強のモチベーションにもなったのかなとも思います。

 

阪大入学後

高3の進路選択のとき、工学部のプロダクトデザイン学科や東京の美大も考えていたのですが、いまいち決め手に欠けていました。そんなとき、塾の先生から「阪大の文学部は一風変わった人が多くて面白い」という話を聞いたんです。

わたしは小学校から高校まで少人数の学校に通っていたので、限られたコミュニティしか知りませんでした。自分の幅を広げるために色々な人に出会いたいと思って、阪大文学部を目指すことにしました。

入学してみたら、確かに変わった人だらけでした(笑)。才能があって、行動も変な人が多くて想像以上に刺激的で。たくさんの人に会って関わっていく中で、自分の中の人間観みたいなものはかなり広がった気がします。

大学卒業後、担当さんとの打ち合わせで「吉田さんは絵は上手いけどストーリーが弱い。キャラクターをもっと強くして」と注意されたんです。

 

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ストーリーが高くなればデビューできそうな点数だった

あとはストーリーが高くなればデビューできそうな点数だった。

 

そこで、大学で出会った人をそのまま描いてみよう、と思って描いてできたのがデビュー作『宇宙はラズベリーのにおい』です。

主人公が恋する男の子は、サークルで出会った友達がモデルです。たくさん出会った変人の中でも彼はひときわ変わっていて、iPhoneを見たことない、AKBも知らない、毎日同じ服を着る…など、エピソードに事欠かない人物でした(笑)。でも、彼はものすごい才能の持ち主で、わたしにとって誰より魅力的だった。そんな人物像が伝わればいいなと思って描きました。

 

 

 

漫画の役割

大学時代、漫画を学ぶ授業で教授が「子ども向けの漫画雑誌は絶対になくならないし、なくさない」と言っていたのが印象に残っています。

ここ最近、特に大人向けの漫画雑誌が次々と休刊しています。その中で、『りぼん』などの少女漫画誌はふろくを豪華にしたり、子どもに買ってもらおうと努力を続けているんです。

最初に子どもに漫画を触れさせないと、大人になってから漫画を読むようになることはほとんどないそうです。漫画の読み方というのを大人になってから理解するのは難しいし、そもそも漫画を読む習慣というのは子どもの頃に身についてこそ。子どもに漫画を読ませないと、自動的に漫画を読む大人も減っていくんです。そうなると、漫画文化が途絶えてしまう。その話を聞いて、低年齢向けの漫画は大事だと改めて思い直しました。

 

りぼん7月号

りぼん7月号

 

また、子どもって知らない世界のことや道徳的なことをほとんど漫画やアニメから学ぶじゃないですか。子どもが最初に目にするものの役割ってかなり大きい。塾バイトや教材の編集など、いわゆる「教育」に携わる仕事もしてきましたが、漫画も広い意味では教育に近いのかもしれない、というのはずっと思っています。

 

若者とポップカルチャー

今でも、塾で教えていた生徒に学校で流行っているものを聞いたりしますね。

アプリはTiktokが猛威を振るっているそうです。Mix channelはもう古い(笑)。Youtubeもチェックしますし、Instagramでは高校生をフォローして見ています。文化祭や体育祭で派手に着飾る女子高生がほんとにかわいくて…。イラストにそのまま取り入れたりもします。

TWICE など、中高生に人気のK-POPアーティストは、追っているうちにファンになりました。韓国ファッションも好きだし、韓国風メイクのイラストも@cosmeさんのお仕事で描いたりもしました。

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SNS時代ということもあり、流行の移り変わりが早くて大変ですが、追っていて楽しいです。ショッピングモールに行っても、中高生の話に聞き耳を立てています(笑)。

もともと、ティーンの女の子が考えていることに興味があるのかもしれないですね。卒業論文でも、穂村弘さんの『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』という歌集に登場する女の子の少女像について書きました。

大学での研究においては特に少女漫画のことは意識せずにいたのですが、論文タイトルを決める際、教授に「吉田さんは少女像に興味があるみたいだね」と言われたときに、「やっぱりわたしは『少女』が好きなのか…」と、自分で衝撃を受けました(笑)。

 

吉田さんが学んだ美学棟

吉田さんが学んだ美学棟

 

 

 

りぼんの魅力

『りぼん』との出会いは、『GALS!』という漫画がきっかけでした。この作品を読むために買い始めてから約17年間、ほぼ全部毎月買って揃えています。

 

 

それ以外のジャンルの漫画も、少年漫画からサブカルチャー、レディースコミックから男性向け漫画まで幅広く読みますが、やはり『りぼん』はすごいなあ、といつも思います。

感情の動きを丁寧に追って描くので、古くならないし、普遍的なんです。海外でも人気があるというのもすごい。『源氏物語』はその手法で描かれているから古くならないというのを聞いたことがありますが、同じ理由で少女漫画には時代を超える魅力があるんだと思います。

ただ、描いている内容は普遍的でも、絵のタッチはどんどん新しくなっていきます。『りぼん』の絵で言うと、今は女の子の表情がとても柔らかくなっていますね。

『GALS!』のころは線が太くて強い絵柄が流行っていたのですが、今は細く柔らかくなっている。性格も、グイグイいくというよりは、一見おとなしいけれど芯は強く持っているという女の子が多い気がします。

長年活躍している『りぼん』の作家さんたちは、こうした現代の感覚に合わせながら描いているのがすごいなと思います。

 

 

吉田さんのこれから

『GALS!』で最先端の渋谷の街やファッションを疑似体験できたというのがわたしの原点にあるので、わたしもいつか憧れの世界を追体験できるような漫画を描けたらな、と思っています。

 

情報発信はInstagramで続けていく予定です。たまにいただくメッセージやコメントがわたしの支えになっています。見ず知らずの方から、わたしのイラストの髪型を真似しましたというメッセージをいただいたことがあって…そういうのがあると本当に嬉しいし、励みになります。

デビューした後こそが大変なのですが、がんばって描いていきます。応援よろしくお願いします!

 

 

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吉田さん、ありがとうございました!デビュー作『宇宙はラズベリーのにおい』が載るりぼん夏の大増刊号は2018年7月18日発売なので、私も久しぶりに買ってみようと思います。これからの吉田さんの活躍にも注目です。

Instagram @yoshida_nanami_

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(インタビュー聞き手:蒲生由紀子)

 

 

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